大阪勉強会からの税法実務情報

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東京地裁平成30年3月6日 機械装置の償却開始時期が問われた事例 その3 裁判所の判断

東京地裁平成30年3月6日 機械装置の償却開始時期が問われた事例 その3 裁判所の判断

 

                     

 続きです。

 

 裁判所は、税務署同様、取得が必要であるとした。
 正確には、「取得と同視できる事情が認められる」まで含めましたが。

 

 一般論では、取得の時期は、所有権移転の時期であり。
 特約がなければ、それは引渡しを受けた時期であると。

 

 このように述べつつ。
 本件では、残金支払い時に所有権移転するとの条項があると指摘。

 

 そして、引渡しを受けた日は、検収日であると。
 その上で、

 


 そうすると、原告が本件機械装置を「取得」したのは、早くとも本件機械装置の引渡しが行われた平成25年5月27日であり、本件事業年度終了時である同年3月31日において、本件機械装置を「取得」していないといわざるを得ないから、本件機械装置は、法人税法31条1項に規定する「各事業年度終了の時において有する減価償却資産」に該当せず、同項に基づいて本件機械装置に係る減価償却費を損金の額に算入することはできないし、同様の理由により、租税特別措置法42条の6及び同法52条の3の規定の適用を受けることもできない。

 

とした。

 

 ちょっと「早くとも」が、裁判官の苦労した点を伺わせますが。
 同様で、消費税の仕入税額控除時期も、違うよねと。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

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東京地裁平成30年3月6日 機械装置の償却開始時期が問われた事例 その2 納税者主張

東京地裁平成30年3月6日 機械装置の償却開始時期が問われた事例 その2 納税者主張

 

                      

 続きです。

 

 税務署は、期末時点で取得していないものとして更正処分した。
 この根拠は、法人税法31条だというところまでが、前回。

 

 「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき」

 

 納税者は、これに対して、費用収益対応の原則を持ち出した。

 事業供用は、使用収益権限があり、収益獲得に貢献すれば足るだろうと。

 

 確かに、一理はあるのですよね。
 実際、この論を述べる方も知っています。

 

 「売上さえ上がっていれば、償却費計上してOK」
 多分、これは、結構税理士業界の常識だったと思います。

 

 しかし、このような執行は、恐らく20年くらいまで。
 今の執行は、ギリギリになると、これでは認めてくれないとの認識です。

 

 いや、まだまだ多くの現場では、「売上さえ」基準が多い筈ですが。
 規模の大きな法人や金額の大きい設備は危険と考えています。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

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東京地裁平成30年3月6日 機械装置の償却開始時期が問われた事例 その1 期末保有が減価償却費計上の大前提

東京地裁平成30年3月6日 機械装置の償却開始時期が問われた事例 その1 期末保有が減価償却費計上の大前提



                      

 機械装置である自動倉庫システムを請負契約で取得し、期末までに納品された。
 ところが、不具合が生じて、検収が翌期にズレこんだ。

 

 しかし、納税者は、期中に事業供用が済んだものとして申告。
 これについて、税務署は、期末時点で取得していないものとして更正処分。

 

 異議申立てを行ったものの却下され、不服審判所に持ち込むも。
 請求棄却とされてしまったので、東京地裁に訴訟提起した、という流れ。

 

 ここで確認しておくべきなのは、法人税法31条。

 


・法人税法 第31条 (減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) 

 

 ★内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき☆その償却費として第22条第3項(各事業年度の損金の額に算入する金額) の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(#1) のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(#2) に基づき政令で定めるところにより計算した金額(#3) に達するまでの金額とする。

 

#1:以下この条において「損金経理額」という。

#2:償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法

#3:次項において「償却限度額」という。

 

 冒頭の「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき」。
 これが、課税庁の否認根拠になっています。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

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債務超過会社への貸付金の解消方法
 税理士業界に激震が走った、DESによる債務消滅益を巡る税理士法人への3億円を超える損害賠償事例。

 債務消滅益を計上することにはそもそも疑問がある。貸付金を時価評価することはそもそも不可能。
 だからこそ相続税実務では券面額評価が行われる。それがDESをしたとたん時価評価だ、というのは矛盾だ。

 コンサルタントのアドバイスで役員借入金を資本金に振り替えた事例などいくらでもあるはず。そこで消滅益課税が問題になった事例は皆無だろう。

 しかし、上記のような事例が登場してしまうと、実務家としては積極的に債務超過会社へのDESを提案できるはずがない。

 現実に債務超過の同族会社への数億円の貸付金がある場合どうすればよいだろうか。

 実行できるのは、消滅益が青色欠損金で吸収できる場合に限るのか。この場合は、DESなど面倒なことをせず放棄してしまえば良いだけの話だ。

 法的整理の場合は消滅益について期限切れ欠損金が使える。実行するのはこの場合に限るのか。しかし法的整理を前提にするのはごく限られた場面でしかない。

 疑似DESだと安全なのだろうか。しかし、債務消滅益の計上が正しいとすれば、疑似DESは租税回避行為となる余地もでてくる。

 会社分割は有効か。分割型分割で借入金だけを残した抜け殻会社にする。この場合、組織再編税制のカラクリ上、限切れ欠損金(利益積立金のマイナス)が生じるため、抜け殻会社を解散してから貸付金を放棄すれば免除益課税は生じない。しかも平成29年改正による継続保有要件の緩和でこの場合の分割型分割は適格になる。しかし人為的に期限切れ欠損金を生じさせる手法など否認リスクが怖くてできない。

 分割型ではなく、分社型の分割はまだ使えそうだ。借入金だけを残して資産を分社型分割で新設子会社に移動する。抜け殻会社となった親会社を解散、子会社株式を返済にあて、残った借入金は免除。この場合も期限切れ欠損金が使える。ただ、この場合は継続保有要件が満たせず、分社型分割が非適格になる問題がある。

 現状では抜本的に解決するには会社を解散するしかない。

(税理士:白井一馬) 
| - | 19:47 | - | - |
市の下水道事業の消費税誤り
 水道事業は国等の特例が適用されるので補助金など不課税収入に対応する課税仕入れは控除できない。

 この点につき誤りがあったのでしょうか。 

 課税収入が5千万円以下しかないのですね。
 地方の下水道普及率は低い。
 50%に満たない地方もある。

 ――――――――――――――――――――
 市が消費税申告漏れ、追徴税額1162万円
 2018年08月12日 ヨミウリオンライン

 三重県鳥羽市は10日、伊勢税務署から下水道事業に関する消費税の申告漏れを指摘されたと発表した。過少申告加算税と延滞税を含めた追徴税額は約1162万円で、市は「計算過程に誤りがあった。速やかに納付する」としている。

 消費税は二重課税を防ぐため、売上時に受け取った消費税額から、仕入れの際に支払った消費税額を差し引く「仕入れ税額控除」の仕組みがある。ただ、前々年度の課税売上高が5000万円以下の場合は、実際の仕入れ税額を計算することなく、売上高の一定割合とみなす簡易課税制度の適用を受けることができる。

 同市は同制度の適用を受け、毎年度100万円程度を納付していたが、2012〜15年度の4年間は、それぞれ前々年度の課税売上高(下水道料金収入)が5000万円を超えたことから、同制度の適用外となった。このため、実際の課税仕入れ額などの税額を計算した上で消費税を納付したが、計算に誤りがあったという。

(税理士:白井一馬)
| - | 15:22 | - | - |
法人を活用した消費税還付の手法[家主と地主]

法人を活用した消費税還付の手法[家主と地主]

 

 家主と地主2018年8月号より。

 

税理士大家が解説
 サラリーマンが知っておきたい税務知識
 第22回 法人を活用した消費税還付の手法

 鳥山昌則(税理士)

 

 やはり、提案される還付手法は、「現物の金の売買を繰り返す方法」なのですね。
 いや、これだろうと、ほぼ税理士は皆予測しているわけですが。

 

 実際に、税理士でやっているということを公言したものを目にしたのは初。
 大抵の人は、ボカして書きますからね。

 

 で、”「通算課税売上割合」を50%超にすることで”。
 「還付金の返金を0に」する
のだと、はっきり書いてあります。

 

 この際に、金の売買業者の選定について注意点が書いてあります。
 ま、これは省略しておきますが。

 

 そして、課税仕入控除方法について、1期めは「全額控除」だが。
 2期目以後は、「全額控除」できないので、選択が生じる。

 

 ここで、著者は、間違って、「一括比例配分方式」を採用したことがあると。
 「個別対応方式」を選択しなかったので、控除額が減ってしまたと。

 

 結局、消費税法が、法律として不出来なばかりに、穴につけ込まれている
 言ってしまえばそれだけですが、課税当局も黙っていないわけで。

 

 そのうち、業界を揺るがす大事件が起こってもおかしくない。
 そんな気がしますけど、どうなんでしょう。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 00:01 | - | - |
だから、会計業界はおもしろい!
 だから、会計業界はおもしろい!
 税理士・会計士・コンサルの未来
 山田淳一郎編著 中央経済社

 最大手事務所の紹介と、会計業界の一般論以上のことは書いてないなと思ったのですが。

 最後がよかった。子育てしながら働く女性の悩みと思いが伝わってきます。文字にできないこともたくさんあることが行間から伝わってきます。いかに産休・育休の就業規則が整備されていても、男性社会からの無言の圧力を感じながら働いていると思います。米国型の雇用形態にならない限り子育てしながら働く女性の不利は解消しないと思いますが、その中にあって、働く女性の悩み、葛藤が実感として語られています。

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 P157 働きながら子育てをする人も増えています!

 一方で、保育園生活で子供はよく病気にかかり、保育園からの呼び出しや子供の病気による有給休暇(有給はすぐになくなり欠勤でした)が多く、まったく仕事になりません。出勤している日も、常に「明日はこどもの病気で出社できないかもしれない」という恐怖にかれていました。

 (略)

 そしてもっとも気に病んだのが、「子どもを預けている自分はひどい母親ではないのか?」というおきまりの専業主婦信奉。

 現在、私は時短勤務制度を利用しています。
 (略)
 ただ、時々「本当にこれでいいのか」と思うことがあります。なぜなら、私は自分のキャリアプランをまったく考えていられない状態であることに気がついたからです。
 育児休暇、時短勤務、残業なしというのは、配慮していただいている反面、「あなたは子育てというハンディがあるのでキャリアプランはほぼなくてよいですね」と言われている気がして、それがモチベーションを下げることにはなっても、上げることにはつながらないのではないかと考えています。
 最近の新聞でも、時々この視点で転職をする女性が増えている記事をみかけます。つまり、仕事と子育て両立世代が「より刺激のある職場を求めて転職する」という記事です。これまでは、仕事と子育ての両立をどう支援するか、そのよう状況にある女性をどう雇用し続けるか、という記事が多かったのですが、おそらく時代の流れも次のステージに進みつつあるのではないでしょうか。
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(税理士:白井一馬)
| - | 21:09 | - | - |
気になるヨソの税務・会計ソフト…〜多くの税理士が使っている税務・会計ソフトを大調査!〜(中国税理士協同組合ニュース)

 

気になるヨソの税務・会計ソフト…

〜多くの税理士が使っている税務・会計ソフトを大調査!〜(中国税理士協同組合ニュース)


 

中国税理士協同組合ニュース2018年8月号より。


 

○特集 気になるヨソの税務・会計ソフト…

〜多くの税理士が使っている税務・会計ソフトを大調査!〜

 

TKC・MJS・ICS・JDL・エプソンの五社について調査。弥生は外されているようです。

 

順位は、TKC 、MJS、ICSの順で各2割。

弥生入れると、ICS が4位転落みたいですが。

 

で、JDL とエプソンが各1割程度で続く。

各社特徴をヒアリングして、記述。

 

更に、ユーザー座談会が続く。

で、優劣ではなく、TKC の特異性目立ちますね。

 

上位三社の評価は専務理事のまとめがあります。

 

「JDL はそのまま使えば、うまく全部できますけど高いですよ。TKC は何でもできるけど言うとおりにしないといけませんよ。MJS は値段そこそこ、大きくなればなるほどお得感が出るけど、使いこなすにはノウハウがいりますよ。この3社のイメージはこんな感じですかね?」

 

私自身のコメントは省略しますが。

弥生や勘定奉行、クラウド会計系もやって欲しいかな。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 17:06 | - | - |
藤山判事は退官していた

藤山判事は退官していた

 

 そうなんですね。
 4月末で定年退官されていたとは。

 

藤山雅行(裁判官検索)

 

 弁護士登録されたりしないのか、興味深いところ。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

| - | 00:01 | - | - |
相続放棄の申述 死亡の3ヶ月以内になされず

週刊税のしるべ 平成30年8月6日 第3326号

 

 被相続人の滞納国税の納付義務を承継した相続人。

 

 税務署からの「納税義務承継通知書」を受けて、あわてて「相続放棄の申述書」を家庭裁判所に提出するも、相続開始の日からはすでに3ヶ月超が経過していた。

 

 相続人らは、納税義務承継通知書で納税義務を承継することを認識し、それから3ヶ月以内に相続放棄の申述を行っているのだから、納付義務を承継することはないと主張したのだが。

 

 審判所は、「家庭裁判所のでの相続放棄の申述の受理は相続の放棄が有効か無効かの権利関係を終局的に確定するものではない」と指摘。

 

 その上で、「請求人らがした申述は被相続人の死亡した日から3ヶ月以内になされたものではないが、請求人らは被相続人と生活をともにし死亡した日に相続の開始を知ったと認められるうえ、相続すべき積極および消極の財産の有無等に関する調査を期待することが著しく困難な事情があったとはいえない」とした。

 

 ということで、請求人らの主張は退けられたわけですが。

 

 ちょっと無理筋の事案だったのかなというのが個人的印象。

 

(税理士 岡野 訓)

| - | 08:30 | - | - |
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