大阪勉強会からの税法実務情報

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非営利型法人の要件認定がされた事例(H300301裁決)TainsNews

非営利型法人の要件認定がされた事例(H300301裁決)TainsNews

 

 TAINSメールニュース No.425 2019.8.22 発行(社)日税連税法データベースより。
 https://www.tains.org/category/week-news/

 

【2】今週の判決等(税法データベース編集室:小菅 貴子)
 一般社団法人の非営利型法人/会員制のゴルフ場を経営する一般社団法人(平30−03−01 非公開裁決 棄却 F0−2−838)

 

 非営利型法人の要件該当性について争われた事例です。
 もしかしたら、初めてかもしれません。

 

 ただ、納税者は、ゴルフ場経営する一般社団法人で収益事業メインだし。
 しかも、当時、定款に定めておらず、後付けしたのに争ったので。

 

 そもそも争うだけ無駄、なんで争ったの、レベルの話で。
 正直、かなりしょうもない部類の争いなのですが。

 

 ただ、注目点は、証拠として取り上げられた定款です。
 これは「特例民法法人から普通法人に変更する旨の異動届出書」に添付されたものでした。

 

 過去に届出した定款が、後になって、要件該当していないと言われる。
 10年以上経ってだから、怖いですよね。

 

 時々、申告書とかを税務署に提出したけど何も言われなかったから。
 是認されたんだなんて、平気でいう能天気な納税者がいますが。

 

 その時は受理しただけで、是認とは全く別なんですよね。
 内容妥当性の確認は、後日また、税務署の都合の良い時期にやるわけで。

 

 今回のように、10年以上経ってから文句言われることだって当然あり。

 だから、実務家として当然に、提出物は、受理印貰った控を保管します

 

 「受理印貰った控を残さないプロなんて、あり得ない。」

 それは、かつて某税理士に、かなり厳しく言われた点です。

 

 税務署から帰る前に、受理印貰い忘れないか確認するように。
 会計事務所職員に指示するのは、税理士事務所での基本でしょう。

 

 実際、それで問い合わせに事なきを得たことは、多々あります。

 

 時々、控貰わず、税務署に「提出した筈だ」と文句いう税理士いますが。
 上記の流儀だと「あり得ない」ことになるんですが、はて。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 00:01 | - | - |
相続対策巡り税理士法人に3億円超の税賠訴訟

週刊税のしるべ 令和元年8月26日 第3376号

 

 例の事件ですが、高裁も地裁の判断を支持しました

 

----------------------------------------------------

 本件の顧問先法人の代表であるAは、同社に対して11億円の債権を所有。

 

 Aは、被告の税理士法人にこの債権についての相続税対策を依頼。

 

 税理士法人は、他に有利な方法があったにもかかわらず、それを説明することなく、DESを採用。

 

 後日、DESによる債務消滅益に法人税等が課されることになり、同社が税理法人に対し損害賠償請求を行った。

 

 主な争点は、税理士法人がDESに係る説明義務を怠ったか否か。

 

 高裁は、税理士法人が依頼者に対して最も有利な方法を助言指導せずに、デメリットのあるDES方式を勧め、そのデメリットも説明しなかったため、納める必要のなかった法人税を納めることになったなどとし、税理士法人の控訴を棄却した。

-----------------------------------------------------

 

 やはり、ダメでした。

 

 債権の時価は券面額であるとの行政訴訟をなぜ提起しないのか?

 

 原告とすれば、損害額が返還されれば文句はないので、あえて税理士法人の手伝いをしてあげる義理はないのでしょうね。

 

(税理士 岡野 訓)

| - | 07:28 | - | - |
吸収合併した際の海外子会社の把握(外国子会社合算税制に係る注意点[国際税務])

吸収合併した際の海外子会社の把握(外国子会社合算税制に係る注意点[国際税務])

 

 月刊「国際税務」2019年8月号より。

 

〇「国際課税の動向と執行の現状」
 堀江知洋(東京国税局調査第1部国際監理官)
 (国際税務研究会2019年5月31日セミナーより)

 

 続きで、外国子会社合算税制に係る注意点の話です。
 要チェック項目2つと今後の注意点3つが挙げてある。

 

 まず、1つめの要チェック項目について。
 吸収合併した際の海外子会社の把握(特に遠い階層)から。

 

 買収先には、孫会社や曾孫会社が連なっている可能性がある。

 「遠い階層になるにつれ、合算課税の対象になるかのチェックが疎かになることが見受けられます。」

 

 ああ、要するに、去年のソフトバンクですね。
 もう既に出た話だから、ってことかな。

 

 で、この対応は、一番遠い階層の会社のアニュアルレポートなどを取り寄せて。
 見ていくことになるが、非常に手間と時間を費やす作業である
と。

 

 でも、一回はやっておかないといけませんよと。
 ソフトバンクのようになりたくなければ、と言いたいのでしょうね、本当は。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 00:01 | - | - |
フェイスブック5億円申告漏れ 利益を低税率国に移転 東京国税局(産経新聞)

フェイスブック5億円申告漏れ 利益を低税率国に移転 東京国税局(産経新聞)

 

フェイスブック5億円申告漏れ 利益を低税率国に移転 東京国税局
産経新聞 2019.8.29 11:11社会事件・疑惑

 

 アイルランド法人に、日本国内の広告料が支払われていたが。
 日本法人では、アイルランド法人からの業務支援報酬受取も生じていた。

 

 業務支援報酬額は、支払経費に数パーセント上乗せした額だったので。
 行って来いで、日本では数パーセント分だけ課税が生じるスキームか。

 

 結果、低率課税国であるアイルランドに、利益移転が行われたと。
 国税局は実質判断したのだという話。

 

 なるほど。


 ただ、

 

「国税局は税務調査で、日本法人の報酬は広告料に連動させるべきだと指摘。」

 

 の箇所が、いまいちはっきりしない。

 

 アイルランド法人の業務実態がないと判断したのか。
 関与度合いが低いから、もっと日本取り分を増やせなのか。

 

 そのあたり、見えませんけれど。
 また、詳細がどこかから出るでしょうね。

 

 で、日本法人は修正申告に応じ、すでに納付した模様だと。

 ということは、裁決例や裁判例は出てこないのですね。


 ちょっと残念。

 

 ところでですが。
 アイルランドと言えば、3年前のアップルの課税を思い出しますね。

 

 あれは、使用料の源泉徴収漏れという話でしたけど。

 

iTunesに120億円追徴 国税、源泉徴収漏れ指摘
朝日新聞 2016年9月16日11時51分

 

 アイルランドっていうのは、イメージだけで言えば。
 昔で言うオランダみたいな存在なんでしょうか。

 

 また、村木先生に聞こうっと。

 

 で、これから、巨大デジタル企業への課税が本番なんでしょうね。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

| - | 14:37 | - | - |
連結納税の見直し

 27日に開かれた政府の税制調査会にて、連結納税制度の見直しが決まった。

 

 現行は、一つの子会社で経理ミスが発覚すれば、グループ全体で修正が必要となる仕組みを見直し、子会社のみの修正で済むよう、仕組みを改めるとのこと。

 

 問題は、研究開発税制や外国税額控除などの税優遇措置について、優遇枠をグループ全体で共有できる制度を維持するか否か。

 

 この見直しにともなって、制度自体の名称も「連結納税制度」から「グループ通算制度(仮称)」と変更する見込み。

 

 財務省は来年度の税制改正で連結制度を見直す方針。

 

 事務負担が軽減されたとしても、税優遇が縮減されるなら企業側は今回の見直しを受け入れがたい。

 

 今後の税制調査会での議論に注目が集まる。

 

(税理士 岡野 訓)

 

 

| - | 07:38 | - | - |
株式買収の取得価額に算入すべきDD費用等(調査で指摘の多い事項[国際税務])

株式買収の取得価額に算入すべきDD費用等(調査で指摘の多い事項[国際税務])

 

 月刊「国際税務」2019年8月号より。

 

〇「国際課税の動向と執行の現状」
 堀江知洋(東京国税局調査第1部国際監理官)
 (国際税務研究会2019年5月31日セミナーより)

 

 調査で指摘の多い事項の続きです。
 4つめで最後は、株式買収の取得価額に算入すべきDD費用等。

 

 弁護士、会計士・税理士に支払った費用も取得価額算入の必要があり
 それが漏れていることが、調査において指摘されていると。

 

 法人税法施行令119条と法人税基本通達2−3−5(有価証券の購入のための付随費用)だと。

 ただ、2−3−5自体は、そんなこと書いてないですが。

 

 八訂版の逐条解説(税務研究会)には、

 

「なお,これらの費用以外の費用,例えば購入に当たって支出したあっせん手数料,謝礼金等があれば,そのあっせん手数料,謝礼金等は取得価額に算入される。」

 

 というのが出てきますね(P222)。

 

 以前は、調査課所管法人用の申告書確認表で、下記表現もありました。

 

「7  30欄の金額は、別表五(一)に記載された評価損益を調整した後の期末関連法人株式等(他の内国法人の発行済株式等の3分の1を超える数等を当期又は前期の期末日以前6月の期間を通じて有している場合における当該他の内国法人等の株式等をいいます。)の税務上の帳簿価額となっていますか。
→評価損益以外に、別表五(一)に記載された株式の取得価額に算入すべきデューデリジェンス費用等の金額についても調整を行う必要があります。」

 

 で、元の稿に戻ると、海外の大きな会社を買収した場合には、要注意で。
 DD費用も数億円になることがあるので、必ずチェックせよ
と。

 

 そして、取得価額に含めるのは、いつの時点以後の費用かについて。
 購入することを意思決定した後の費用」であると。

 

 よって「購入に際しての意思決定がいつなされたのか」が重要だと。
 取締役会や社内稟議書など、購入決定した時点を社内で明確にすべしと。

 

 で、ここから先は書いていない話になりますが。

 

 取得価額に入れないためだけに、いい加減なことを言っていると。
 実際には、調査で、メールなどから時期を推認されるのでしょうね。

 

 だから、後でダウトと言われないよう、整合的な時期の認識を持つべき。
 この辺は、お客さんとも話し合っておくべきなんだろうなと。

 

 この点は、国内子会社でも同様でしょうね。

 

 勉強になりました。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

| - | 00:01 | - | - |
軽減税率、レジ補助要件を緩和=需要急増に対応−中企庁(時事通信)

軽減税率、レジ補助要件を緩和=需要急増に対応−中企庁(時事通信)

 

軽減税率、レジ補助要件を緩和=需要急増に対応−中企庁
時事通信 2019年08月27日19時02分

 

 これまでは、9月末までの設置・支払いが必須だった。
 しかし、9月末までの購入契約締結で良いとした。

 

 今まで急いだ人はなんだったんだ、というのはさておき。
 もう間に合わないで諦めていた人は急げ!ですね。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 09:25 | - | - |
ロイヤリティ料率の論点(調査で指摘の多い事項[国際税務])

ロイヤリティ料率の論点(調査で指摘の多い事項[国際税務])

 

 月刊「国際税務」2019年8月号より。

 

〇「国際課税の動向と執行の現状」
 堀江知洋(東京国税局調査第1部国際監理官)
 (国際税務研究会2019年5月31日セミナーより)

 

 調査で指摘の多い事項の続きです。
 3つめが、ロイヤリティ料率の論点であると。

 

 まず、親子間取引で、長期間、契約あるいは料率の見直しがされていない
 親と子の機能変更されていれば、当然に、見直しが必要になると。

 

 また、部署等組織の子会社間移管時に、契約締結忘れも注意と。
 元々ロイヤリティ契約を親会社としていた子会社部門が、別の子会社に移管された後、契約を締結しなおすのを忘れていることがあるのだと。

 

 要するに、子会社全体を見渡すセンター機能がグループにないと。
 この対応ってできないような気がしますが、どうなんでしょう。

 

 そして、一番指摘が多い、ロイヤリティ料率事案は何かというと。
 なんと、契約の不履行であると。

 

 契約でロイヤリティ料率を決めており、収受すべきなんだけど。
 親会社で収受していないことが、「多々見受けられる」
と。

 

 あぁ、ロイヤリティじゃないけど、先日の調査でも確かに見かけました。
 決めておられるんですけど……と指摘されちゃってましたね、うん。

 

 なお、収受していないことに、正当な理由があるという場合には。
 証明できる書類を用意して、考え方をきちんと整理説明してくれ
と。

 

 まぁ、当然でしょうね。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

| - | 00:01 | - | - |
DES事件で税理士法人の請求棄却
 税のしるべ 令和元年8月26日

 この事件が起きたときは事前税務相談業務担保特約はまだなかったのですね。

 仮に保険が支払われても上限5千万円。
 今回の賠償金3億2900万円はとても払えない。

 消費税の判定ミス、
 所得拡大税制の適用失念、
 組織再編税制の欠損金が引き継げないミス、
 事業承継税制の指導ミスによる猶予打ち切り。

 近年、取り返しの付かないミスにつながりかねない条文が増えてます。

(税理士:白井一馬)
| - | 11:49 | - | - |
システム費用の分担(調査で指摘の多い事項[国際税務])

システム費用の分担(調査で指摘の多い事項[国際税務])

 

 月刊「国際税務」2019年8月号より。

 

〇「国際課税の動向と執行の現状」
 堀江知洋(東京国税局調査第1部国際監理官)
 (国際税務研究会2019年5月31日セミナーより)

 

 調査で指摘の多い事項の続きです。
 2つめが、システム費用の分担(ソフトウエア資産計上)で、指摘が非常に多いと。

 

 まず、例えば、親会社がシステム構築して、海外子会社に利用させている場合
 使用し、便益を受けている子会社から、親会社が使用料を徴求していない

 

 これが、調査では問題になると。
 まぁ金額もあるのでしょうけど、確かにありそう。

 

 次に、親会社がソフトを自社開発した際の人件費が問題になると。
 開発した自社間接部門の人件費を計上していない例があると。

 

 また、資産計上後、償却開始時期は、資産ができた時点ではなく。
 当然ながら、事業供用時期
なので、間違わないようにと。

 

 ソフトって、本格稼働までに時間かかることが多いので。
 わざわざ、こういうコメントを付けたのですかね。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

| - | 06:38 | - | - |


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