無償減資による均等割の減額(法人住民税)
月刊「税」(ぎょうせい)2019年1月号より。
○地方税1問1答
第34回 無償減資による均等割の減額(法人住民税)
内田百紀
従業員8名
純資産内訳
資本金 1500万円
利益準備金 300万円
別途積立金 2200万円
繰越利益
剰余金 ▲8856万7343円
この法人で、欠損てん補による無償減資を行う。
法人住民税均等割の額を下げられるか。
まず、法人住民税における資本金等の額の計算法の確認で。
法人税法の資本金等の額に、加減算を行って算定すると。
現時点で行う減資・あるいは減準備金であれば。
それにより発生したその他資本剰余金による欠損補てん額を減らす。
ただし、資本金の額と資本準備金の額を計算の下限とする。
そして、設問の場合どうなるかですが。
「会社法の手続に則り処理をしているのであれば、要件を満たしているものと考えられますので、問題ありません。」
としており、損失のてん補に充てた事実と金額の証明書類について。
申告書に添付することを忘れないようにと。
よくまとめてあるようですが、問題が幾つかあります。
[1]地方税法の要求する「損失のてん補」は、
上述の「欠損のてん補」ではないこと。
→「損失のてん補」の意味を確定させないと、額が決まらない。
ちなみに、金子登志雄先生の本を読んでいれば。
損失の意味が利益剰余金のマイナスのことだと、分かりますね。
[2]地方税法施行規則1条の9の3第2項では1年基準があること。
→「損失のてん補」であればそれで良いわけではない。
1頁でまとめるのは無理でしょうから、無い物ねだりでしょうけど。
しかし、この記事は、ミスリーディングだと思うのですが。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)