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福山市民病院が1334万円源泉徴収漏れ(毎日新聞)

福山市民病院が1334万円源泉徴収漏れ(毎日新聞)

 

佐々木)濱田さんの地元の病院で、源泉徴収漏れが指摘されたようです。

 


福山市民病院が1334万円源泉徴収漏れ
毎日新聞2018年7月5日 地方版

 

 (略)

 

 病院によると、2014年4月〜17年12月の医師など285人の休日や夜間手当について、病院側が「1回4000円まで非課税」と解釈したのに対し、今年1月の税務調査で「急患受け入れのための勤務に支給している手当は全額課税対象になる」と指摘されたという。病院によると、徴収漏れが指摘されたのは医師ら285人(うち退職106人)で、未徴収分は返還を求める。病院は「解釈に相違があったためで、税務署の判断に従って適切に対応する」とした。

 

https://mainichi.jp/articles/20180705/ddl/k34/040/565000c

濱田)本当ですね。福山市の基幹病院なので、地元の業界では話題になりそうです。

 

佐々木)『福山市民病院職員の給与に関する規程』や、『福山市民病院職員の特殊勤務手当の支給に関する規程』を見ても、新聞記事のような1回4000円という手当はないので、宿日直手当のうち、4000円だけを非課税処理していたのかもしれません。

 

濱田)所得税基本通達28−1(宿日直料)があるから、4000円までは非課税だとしていたのだが、いやダメだよ、全額給与課税だと言われたわけですね。

 


所得税基本通達 28−1(宿日直料)

 

 宿直料又は日直料は給与等(略)に該当する。

 

 ただし、次のいずれかに該当する宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となつた勤務1回につき支給される金額(略)のうち4,000円(略)までの部分については、課税しないものとする。

 

 (1)休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料

 

 (2)宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料

 

 (3)宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(略)により支給される宿直料又は日直料(略)

 

佐々木)基本通達28−1で非課税とされている趣旨は、時間外の宿日直に対する実費支弁であるからですね。しかし、仕事の一環として宿日直を行った場合は、課税給与という意味と考えるわけです。

 

濱田)なるほど、今回の場合は、単なる残業手当みたいなものだろうと。

 

佐々木)平成21年度予算で、宿日直手当や超過勤務手当とは別途、新たに救急勤務医手当が創設されました。このあたりを、勝手な理解してしまっているケースが多いのでしょう。

 

 で、宿日直料の非課税規定と病院での夜間勤務については。
 平成21年3月19日付の裁決例があります。

 

(平21.3.19、裁決事例集No.77 222頁)

 

濱田)こちらでは、「日宿手当」というのを支給して、非課税扱いできると病院側は信じていたのですね。

 

佐々木)この通達は、原則給与課税でありながら除外して非課税を定めている但書がありますが。

 

 その趣旨は、

 

課税しない宿日直料の対象となる宿日直勤務から)寨茲凌μ海箸靴胴圓辰燭發痢↓通常の勤務時間に行ったもの、B綟休暇が与えられるもの及びさ詬身耄祿曚砲茲蟷抖襪気譴襪發里除いていることからすると、本件取扱いの適用対象とされる宿日直勤務とは、所定労働時間外又は休日において、本来の業務に従事しないで行う構内巡視、文書等の収受又は非常事態に備えての待機などをいうものと解される。

 

 ということだと言っています。

 

濱田)なるほど。やはり、本来の職務とは別にやるものだからなのですよね。

 

夜間行われる勤務であるからといって直ちに本件取扱いの適用対象とされる宿日直勤務に該当するということはできず、本件通達が夜間の勤務1回について一律4,000円までを非課税とする旨を定めていると解することはできない。

 

 夜間勤務=非課税なんて発想は、ここにはないよと。

 

佐々木)はい。ですので、

 

本件夜間勤務の医師は、本件夜間勤務においても、本来の職務である医療行為に従事していたと認められるから、当該医師に対して支給された本件日宿手当には、本件取扱いの適用はなく、そのすべてが課税の対象となる。

 

という話になります。

 

濱田)そうすると病院のケースでは、勤務表に組み込まれている職員は、業務の一環としての宿日直なので非課税とならないと。ただ、念のための電話番として、通常業務に加えて、事務職が宿泊する場合は、非課税となり得るということなのでしょうね。

 

佐々木)病院の税務調査では、源泉のチェックが厳しく行われ、退職済み従業員の源泉徴収不足の対応などに苦労します。

 

濱田)退職者でも文句言われますか。その辺は意外ですが、源泉調査の担当者は、厳しさが本当にピンキリですものね。

 

佐々木)今回の宿日直手当のほか、永年勤続者の記念品(36−21)、食事の非課税(36-38の2)などは、病院関係では、調査での論点になりやすいので、再検討すべきでしょうね。

 

濱田)なるほど、普段からの確認が大事だよ、というわけですね。ありがとうございます。

 

(税理士 佐々木克典・税理士 公認会計士 濱田康宏)


 

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