改正医療法で社員総会・理事会決議で対応が必要な点に注意
佐々木)改正医療法が平成28年10月から施行されていますが。多くの税理士が、実務対応を怠っているような気がしています。
濱田)それって、佐々木さんの税務弘報の連載第1回で書かれていた、役員報酬の決議が必要になったという話でしたっけ。
佐々木)それも、その1つです。実務上は、理事会でのみ決議している例が多々ありますが、医療法の改正により、社員総会で理事・監事の報酬を決めることが必要とされました(医療法 第46条の6の4による一般社団法89条の準用・医療法 第46条の8の3による一般社団法105条の準用)。
濱田)これって、会社法と同じく、総会で支給枠としての総額を(○○円以下)と定め、個別の理事報酬については、理事会に委任することが可能なのですよね。
佐々木)ええ、それに、関根稔先生に教えて頂いたように、会社法同様、更に、理事会から理事長に一任する方法も可能です。
濱田)どの決議方法が良いというのは、ありますかね。
佐々木)んー、ケースバイケースですね。例えば、社員は身内だけだが、理事には他人が混じる場合、社員総会で個別具体的な額まで決めてしまう方が、簡単で良いでしょう。
濱田)なるほど。小規模法人で、社員と理事が完全に合致していて、他人の目が入らない場合も同様かもしれませんね。
佐々木)このあたり、各法人によって考え方が異なると思いますが、定時総会を機会に決議しておくことがお勧めですね。
濱田)他にもありましたかね。
佐々木)理事会議事録の署名者が、原則出席者全員となっています(医療法 第46条の7の2による一般社団法95条3項の準用)。社員総会との大きな違いです。
濱田)従来は、社員総会同様、議事録署名人を指名する実務がありましたが、それではダメなのですね。
佐々木)定款で定めをおけば、理事長を署名人とすることが可能です。ただ、その場合でも、監事の署名を省略することはできません。
濱田)改正医療法に対応した定款変更がない限り、原則によるのでしょうね。
佐々木)署名は記名押印で良いとは言え。実質的に名義借りに近い監事という事例も多く見られることから、実務上困る場合もあるでしょう。
濱田)他にも改正医療法対応が必要な事項があるのでしょうね。今後も教えて下さい。
参考)
医政発0325第3号「医療法人の機関について」厚生労働省医政局長平成28年3月25日
(税理士 佐々木克典 税理士・公認会計士 濱田康宏)