2019.06.02 Sunday
家族信託のパンドラの箱か〜受託者=帰属権利者とすることのリスク(渋谷陽一郎)
家族信託のパンドラの箱か〜受託者=帰属権利者とすることのリスク(渋谷陽一郎)
金融法務事情No.2113 2019.5.10号より。
〇金融機関のための民事信託の実務と法務 第16回
民事信託のコンサルティング(4)
渋谷陽一郎
受託者への残余財産帰属が利益相反行為かと。
仮に該当しても、信託法で信託行為の定めで許容可能だ。
しかし、委託者の正常な判断能力を要するという点と。
他の親族の不公平感が生じないかにも注意だと。
また、信託変更権限等の要件とあいまった場合には。
万が一、特定委託者としての課税リスクもあるだろうと。
ちょっと脱線ですが、渋谷先生は、課税されると書かずに。
他の要件充足での課税が万が一あるという書き方。
このあたり、慎重な書き方であり、かつ正確と言えそう。
というか、変な説明を煽る人が一部にいるのが問題ですが。
話を元に戻すと、受益者の先死亡での登記が気になると。
出口段階で、信託外の法定相続人の協力が得られるかと。
なるほど、このあたり、確かに悩ましいですか。
そして、委託者の推定相続人についての話で。
従来は、信託条項で、タッチしないよう工夫してきたものの。
上記の登記手続の側面、前述の税務の側面もあって。
再考を迫られつつあるのだと。
更に、金融機関次第では、信託口口座開設時の確認で。
推定相続人全員の同意を要求する例もあるのだと。
金融機関の気持ちとして分かる反面ですが。
ここが徹底され始めると、家族信託ブームはしぼむでしょうね。
渋谷先生は、家族信託のパンドラの箱をあけた。
最後に希望が残れば良いのですが、さて。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)
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