国税速報 平成31年3月4日 第6549号
原処分庁は、父が購入した新車を子の名義で登録したことは過誤に基づく又は軽率にされたとは認められないとして、子に対して贈与税の決定処分をしたと。
根拠は、相基通9−9です。
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9−9(財産の名義変更があった場合)
不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。
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ただし、「過誤等があれば、多めにみてあげるけど」というのが、個別通達の5。
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5(過誤等により取得財産を他人名義とした場合の取り扱い)
「1」又は「2」に該当しない場合においても、他人名義により不動産、船舶、自動車又は有価証券の取得、建築又は建造の登記、登録又は搭載等をしたことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者の年齢その他により確認できるときは、それらの財産に係る最初の贈与税の申告若しくは決定又は更正(これらの財産の価額がその計算の基礎の算入されている課税価格又は税額の更正を除く。)の日前にこれらの財産の名義を取得者の名義とした場合に限り、これらの財産については、贈与がなかったものとして取り扱う。
自己の有していた不動産、船舶、自動車又は有価証券の名義を他の者の名義に名義変更の登記、登録又は搭載をした場合において、それが過誤に基づき、又は軽率に行われた場合においても、また同様とする。
「3」の取り扱いは、これらの場合について準用する。
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本件は、この個別通達の要件を満たさないので、贈与税課税が妥当というのが原処分庁の主張。
審判所は、「本件通達(個別通達5)は、相基通9−9の要件を満たしているにもかかわらず課税庁の立場から贈与として取り扱わない場合を類型化していたものにすぎず、」と喝破。
相基通9−9には「原則として」とあるから、「反証」がある場合には、適用除外だと。
で、審判所では「反証」の成否が検討され。
事実認定により、贈与はなかったと判断された【国税不服審判所平成27年9月1日裁決(全部取消し)】。
事実認定の具体的な内容については、国税速報をご覧ください。
(税理士 岡野 訓)