災害による住宅等の損失を受けた場合の所得税等の対応 その6 雑損控除における控除額
「税理」2019年2月号より。
○所得税実務
平成30年分確定申告対応
災害による住宅等の損失を受けた場合の所得税等の対応
犬飼久美(税理士)
続きです。
事例は、地震で自宅が一部倒壊で、損失が発生。
ただし、同額の保険金が下りる予定。
しかし、別途瓦礫撤去費用で200万円が生じる。
この場合、雑損控除の損失の金額はどう計算するのか。
取得価額が明らかな場合と明らかでない場合とに分けて考える。
まずは、明らかな場合は、次の算式で計算する。
損失額=(取得価額一減価の額)×被害割合
ここで減価の額は、非業務用の償却計算によることになる。
旧定額法で、耐用年数1.5倍というあれです。
この損失額は、損害を受けた住宅の修繕費や関連支出を含むと。
また、保険金・共済金・損害賠償金があると、損失額は穴埋め後で計算する。
被害割合は、別表3「被害割合表」があるので、それを用いる。
ただし、この被害割合表の被害区分等は、罹災証明書の区分とは別だと。
取得価額が明らかでない場合には、次の式で計算する。
損失額=〔(1平米当たりの工事費用×総床面積)一減価の額〕×被害割合
1平米当たりの工事費用は、別表1「地域別・構造別の工事費用表(1平米当たり)」で求める。
また、住宅の総床面積からは、事業用部分を除く点注意と。
設例では、自宅の損失は保険金が同額出てチャラ。
しかし、撤去費用に保険金が出ないなら、この200万円は災害関連支出扱いで、損失の額として取り扱うことができると。
次の設例は、雑損控除における家財の損失額について。
豪雨で自宅が浸水し、家財に損害が生じたと。
損害額が計算できない、という場合、どうしたらよいか。
これは、別表2で、世帯主の年齢と夫婦か独身かで確認することになる。
その際に、大人1名・子供1名一定額の加算があると。
続きます。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)