大阪勉強会からの税法実務情報

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「資産家やバンカーのコモディティ(大衆)化」(清武英利)

「資産家やバンカーのコモディティ(大衆)化」(清武英利)

 

 なるほど。
 今まさに起きている動きなのですね。

 


国税vs新富裕層「新たな闘い」〜新制度もすり抜ける海外資産
もはや「抜け道」はないはずだったが…

週刊現代 2019年1月14日
清武 英利ノンフィクション作家

 

 (略)

 

プライベートバンカーの従来の顧客といえば、代々の資産家や実業家、地方の名士のほか、IT・土地長者、不動産・パチンコ業者、タレントなどが多く、巨額の絵画やゴルフ場、庭園付きの海外不動産を買い付けたという話もよくあったし、タックスヘイブンに「shell company(抜け殻会社)」を作って、その運用口座を香港やシンガポールに置きたい、という需要も多かった。

 

それがいま、客層や活用目的に異変が起きている。バンカーたちは、SNSを通じて飛んでくる依頼に、業界の敷居がかなり低くなったのではないか、という思いを抱いたという。

 

こうした異変をメガバンクでは、「資産家やバンカーのコモディティ(大衆)化」と呼んで、対応を急いでいる。

 

「かつては剣先のような、一部の方々しか扱っていなかった我々の業務範囲が広がり、お客さんに合わせてどんどん降りていくイメージです」と担当幹部は語る。

 

他にも、バンカーたちを驚かせた依頼がある。東京都内で働く外資系のバンカーは最近、「仮想通貨取引で手持ちのコインが(時価)20億円に暴騰したので、海外に移住して、上手く節税したい」という相談を受けた。

 

依頼者は若者である。別のバンカーには、こんな依頼があった。税逃れを念頭に置いた相談である。

 

「数千万円を投資した仮想通貨が25倍近くになった。利益を確定させる前にシンガポールで運用したい」

 

 (略)

 

コイン長者を送り出した関係者は、次のように証言する。

 

「相談は多いです。20億円もコインで儲けてしまえば、皆さん、節税と海外移住を考えるようです。シンガポールの場合は、法人を作って、そこの社長になり、『ビジネスを展開します』といって申請をすれば、2年更新のEmployment Pass(就労許可)ビザが出ます。

 

ただし、以前に比べると、少し厳しくなったので、『シンガポール以外で』という人には、マレーシアを勧めています

 

マレーシアはlong term visa(長期滞在ビザ)があり、例えば50歳未満であれば、30万リンギット(810万円)を、マレーシアの金融機関に定期預金をすれば、10年間のビザを取れます。フィリピンでも問題ないですね」

 

ちなみに、マレーシア政府観光局も、「最大10年滞在可能な長期滞在ビザを政府が発行」と謳って呼び込みを図っている。

 

海外口座も捕捉
仮想通貨取引のもう一つの特徴は、取引所を自由に変えて口座を開設できることだ。仮想通貨は電子データ上を――――つまり国境を越えて――――流れていく。一部のコイン投資家にとって、それが節税策のもう一つの抜け道になっている。

 

「だからシンガポールであれば、まずそこへ体を移し、日本の税制から外れます。183日が過ぎたところで、その仮想通貨を日本からシンガポールの取引所に移す。

 

それだけ待つのは、一年の半分以上を外国で住んだという証拠になり、日本の『非居住者』と認められる可能性が高くなるためです」(前出のベテランバンカー)

 

ある若者は日本から住民票を抜き、シンガポールに住み始めて6ヵ月過ぎたところで、仮想通貨を全部シンガポールに移した。いつ売っても、そのキャピタルゲインに対する課税はゼロだという。

 

 (略)

 

他にも、コイン投資家から寄せられる相談があるという。

 

「日本に住んだまま、シンガポールか香港のプライベートバンクに口座を開設したい。それで当地の仮想通貨取引所に移して売ったコインの利益を、その口座に入れたら税務申告しないでも済むのではないか?」

 

これは脱税行為である。こうした依頼者は、国税庁が「国際戦略トータルプラン」という名の海外資産逃れ対策を次々と講じ、OECD租税委員会が主導する「自動的(税務)情報交換制度(CRS)」が本格稼働したことを知らないのである。

 

 (略)

 

「私にも時々、相談があるが、日本に住んでいる以上、いくら仮想通貨を海外に移しても海外の銀行に入金した時点で捕捉されるので、カンボジアのようなCRSにまだ参加していない国を利用するか、移住するしか、節税手法はないです。移住した時点で、現地に口座を開設すればCRSの対象から外れますから。

 

ただしいま、タックスヘイブンの活用や、仮想通貨をめぐる節税は、国際的にも厳しい目で見られている。外資系も含め不正が発覚した時には、収益が全部吹っ飛ぶぐらいのペナルティを払わなければならない

 

 (略)

 

さらに出国時課税制度や海外移住者(日本の非居住者)に対する相続・贈与税の5年ルールが10年ルールに延長されたことで、「シンガポールや香港といった税金が安いところに移り住んで資産を残す、つまり、税率の差を利用して残していくという節税行為の費用対効果が少なくなってしまった」(メガバンク担当者)という。

 

このため、海外に流出した富裕層とその資金の流れが止まっているのだという。

 

「資金の逆流がこれから起こるだろう」と予想するメガバンクと、「それでも抜け穴はまだ残っているし、超富裕層は海外を利用するメリットを承知している」という外資や独立系プライベートバンカーの間で、新たな資金争奪戦が繰り広げられている。

 

 (略)

 

「もともと、仮想通貨取引で申告してない人はざらにいるので、私たちは『見せしめが出る』と予想しています。国税庁ではプロジェクトチームを作っているようだし、海外逃避についても放置し続けるとは思えない。国税は見ている。それは危ないんですよ」

 

「週刊現代」2018年11月17日号より

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58573

 

 もしも私が調査官だったとしたら。
 こういうところに「横目調査」に入るための工夫を考えますが。

 

 課税庁は、果たして、実際にはどういう手法を開発するのでしょうね。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

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失敗から学ぶ実家信託の進め方(家族信託実務ガイド)

失敗から学ぶ実家信託の進め方(家族信託実務ガイド)

 

 家族信託実務ガイド2019年2月第12号(日本法令)より。

 

連載!大切な家族を守るための「実家信託」活用法
 第4回 失敗から学ぶ実家信託の進め方

 友田純平(司法書士)

 

 事例1:家族も一緒に説明の場へ
 事例2:保険には入りたくない
 事例3:この特例は実は使えませんでした
 事例4:何のための書類ですか
 事例5:実は、期限が…

 

 失礼ながら率直に言えば、結構、どうなの?という話が多いですね。
 事例2だけは、まぁですが、紹介するほどの例でもない。

 

 事例1は、多分、このような提案するなら基本。
 事例3は、税務メリットを組み込んだ営業している点にちょっと違和感。

 

 事例4は、そりゃ、依頼者も不安感持つだろうだし。
 事例5は、資料依頼する際の基本だろうし。

 

 正直、これが駆け出しの頃の失敗だというのなら分かりますが。
 
信託組成専門家の失敗例として語られて、違和感持たない読者がいるか。

 

 いや、失礼ながら、これ、現状では、タイトルに偽りありでしょう。
 「失敗から学ぶ司法書士実務の基本中の基本」とすべきレベル。

 

 いや、まぁ、編集部が掲載をOKしているのでしょうけれど。
 結構絶句です。

 

 なお、家族信託だけでなく、実家信託も登録商標だとか。
 なんだか、寂しい話ですね。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

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