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漁師には1・7億円が配分/一番マグロ落札額の行方(日刊スポーツ)

漁師には1・7億円が配分/一番マグロ落札額の行方(日刊スポーツ)

 

濱田)新年おめでとうございます。今年もまたいろいろ教えて下さい。

 

内藤)おめでとうございます。今年は消費税率改定もあり、忙しい年になりそうですね。

 

濱田)ところで、新年早々の報道記事で出てきた、マグロ漁師さんの所得税について、ちょっとおやっという部分があったので、教えて下さい。

 


漁師には1・7億円が配分/一番マグロ落札額の行方
日刊スポーツ[2019年1月6日8時50分 ]

 

 (略)

 

◆落札額の行方 3億3360万円はどう配分されるのか? 関係者によると落札額のうち、青森県漁連に1・5%(約500万円)、大間漁協には4%(約1334万円)、豊洲市場で競りが始まるまでマグロを預かる荷受業者に5・5%(約1834万円)が支払われ、残金を釣り上げた漁師が受け取る。ただ所得税などの税金約4割を納付することになるため、実際に入金されるのは約1億7800万円になりそうだ

 

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201901060000163.html

 

 なんか、源泉徴収でもされて、手取りで入金されるかの如き記事ですが、おかしくないでしょうか。

 

内藤)そうですね、源泉徴収されるわけではありませんね。「実際に入金されるのは約1億7800万円になりそうだ。」ではなく、 「実際に手元に残るのは約1億7800万円になりそうだ。」が正しいのでしょう。恐らく、記者が聞き間違えしたのでしょうね。

 

濱田)そうですよね。いや、ビックリしました。ただ、1億7800万円という数字はどこから出てきたのでしょうか。

 

内藤)落札額から漁連、漁協、荷受業者に支払った残額2億9692万円の60%の金額が約1億7800万円になります。必要経費を0円として30%の所得税と10%住民税が差し引かれるという計算でしょうね。

 

濱田)なるほど、それが記事中の40%の意味ですか。

 

内藤)でも、この漁師さん、変動所得として平均課税を使える可能性もありますね。

 


所得税法 第2条(定義)

 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 

◆23 変動所得 漁獲から生ずる所得、著作権の使用料に係る所得その他の所得で年々の変動の著しいもののうち政令で定めるものをいう。

 

所得税法施行令 第7条の2(変動所得の範囲)

 

 法第2条第1項第23号(変動所得の意義)に規定する政令で定める所得は、漁獲若しくはのりの採取から生ずる所得、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生ずる所得、原稿若しくは作曲の報酬に係る所得又は著作権の使用料に係る所得とする。

 

濱田)なるほど、まさに、漁獲から生ずる所得で年々の変動の著しいものですものね。

 

内藤)はい。そして、その場合は、税負担が下がり、手取額はもっと増えます。ただし、確定申告での手続が必要です

 


所得税法 第90条(変動所得及び臨時所得の平均課税)

 

 (略)

 

4 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項各号に掲げる金額の合計額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。

 

濱田)なるほど、やはり、確定申告しないとダメなんですね。

 

内藤)ただ、正確に言えば、更正の請求でもOKですね。修正申告を勧奨された場合でも行けますから、失念しないようにしておきたいところでしょう。

 

(税理士 内藤忠大 税理士・公認会計士 濱田康宏)

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株式交付信託における税務上の取扱い その3 その他の論点

株式交付信託における税務上の取扱い その3 その他の論点

 

 租税研究2017年12月号より。

 

平成29年度法人税基本通達等の一部改正について
 高橋正朗(国税庁課税部法人課税化企画専門官)

 

 続きです。

 

 株式交付信託そのものの論点からは外れますが、いくつか。

 

【1】グループ会社間で役員の異動があった場合

 事前確定届出給与だろうが業績連動給与だろうが、同じことで。
 臨時改定事由になるので、事前確定届出給与なら1月以内に変更届出書を出せと。

 

【2】金銭債権を現物出資する譲渡制限付株式の交付は2通りある

 1か月以内に決めて1か月以内に交付する要件満たせば、届出不要になる。
 しかし、事後交付の譲渡制限付株式もあると。

 

 ま、このへんは経産省資料見ていれば分かりますね。

 

 で、大事なのは、株式交付信託での取り扱いの注意点を出す予定があるとの発言。
 経産省から出すのか、国税庁から公表するのかは決まっていないそうですが。

 

 この講演がされたのは平成29年9月なので、もう1年以上経過していますが。
 たぶん、まだ何も出ていませんよね。

 

 うーん、どうなっているんだろう。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

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