退職後在宅で経営相談に応じる顧問報酬の課税関係(税理)
月刊税理2019年1月号P184より。
○Q&Aタックス質問箱 所得税関係
会社の顧問が退職後引き続き在宅で経営相談に応じることとした場合の報酬の課税関係
茂呂和夫(税理士)
元々、月額10万円で週1日勤務だった顧問について。
本人希望で退職し、その後も在宅で電話相談等に乗って貰っていると。
経営企画や社員教育についての相談、というところで月額8万円支給。
給与所得にはならず、雑所得で10.21%源泉徴収している。
しかし、この業務だと、恐らく必要経費も殆どない。
給与所得控除とれないから、税負担増えないだろうか、という相談。
これに対して、茂呂氏の回答は、家内労働者等の特例が使えるだろうと。
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・措置法 第27条 (家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)
家内労働法(昭和45年法律第60号) 第2条第2項に規定する家内労働者に該当する個人、外交員その他これらに類する者として政令で定める個人が事業所得又は雑所得を有する場合において、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額の合計額が65万円(#1) に満たないときは、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定にかかわらず、65万円を政令で定めるところにより事業所得に係る金額と雑所得に係る金額とに区分した場合の当該区分したそれぞれの金額とする。
この場合において、当該それぞれの金額は、その年分の事業所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額(#2) を限度とする。
#1:当該個人が給与所得を有する場合にあつては、65万円から所得税法第28条第2項に規定する給与所得控除額を控除した残額。以下この条において同じ。
#2:同法第35条第3項に規定する公的年金等に係るものを除く。
・措置法施行令 第18条の2 (家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)
法第27条に規定する政令で定める個人は、集金人、電力量計の検針人その他特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者とする。
2 法第27条に規定する個人(#3) について同条の規定の適用がある場合には、第1号に掲げる家内労働者等にあつては同号に定める金額を事業所得又は雑所得に係る必要経費に算入する金額とし、第2号に掲げる家内労働者等にあつては同号イに掲げる金額を事業所得に係る必要経費に算入する金額とし、かつ、同号ロに掲げる金額を雑所得に係る必要経費に算入する金額とする。
#3:以下この項において「家内労働者等」という。
◆1 事業所得又は雑所得のいずれかを有する家内労働者等 65万円(#4)
#4:当該家内労働者等が給与所得を有する場合にあつては、65万円から所得税法第28条第2項に規定する給与所得控除額を控除した残額。次号において同じ。
◆2 事業所得及び雑所得を有する家内労働者等
イ 65万円のうち、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定による事業所得の必要経費に相当する金額(#5) に達するまでの部分に相当する金額
#5:雑所得に係る総収入金額(#5-1) がロに掲げる金額に満たない場合には、当該満たない部分に相当する金額を加算した金額
#5-1:同法第35条第3項に規定する公的年金等に係るものを除く。
ロ 65万円のうち、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定による事業所得の必要経費に相当する金額に達するまでの部分以外の部分に相当する金額
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そうか、シルバー人材センター関係ではよく出てきますが。
このような場合でも使えるのですね。
「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者」に該当するからOKだと。
96万円−65万円=31万円が、公的年金等以外の雑所得の額だと。
なるほど、かなり圧縮できますね。
ただし、話はこれで終わらないのですね。
生命保険契約に基づく年金がある場合などは、要注意と。
つまり、他に公的年金等以外の雑所得があると特例で引ける額が減ると。
「公的年金等以外の他の雑所得に係る必要経費の額が65万円以上である場合、家内労働者等の雑所得に係る実際の必要経費の額のみを必要経費に算入することになります。」
なるほど、勉強になりました。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)