大阪勉強会からの税法実務情報

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ユニマットが再編で100億円の申告もれ
 グループ会社と適格合併して青色欠損金を承継。
 これが租税回避として一部重加算税の対象に。

 まさに組織再編税制の混乱を示す事例ですが。
 何が否認対象になったのだろうか。

 50%超支配要件を満たしている場合に、それが租税回避として重加算になるとは思えません。

 50%以下のグループ子会社について、意図的にみなし共同事業要件を整えた事例だと推察します。

 ――――――――――――――――――――
 毎日新聞

 オフィスコーヒー事業などを展開するユニマットライフとグループ企業2社が2016年3月期までの数年間に、計約100億円の申告漏れを東京国税局に指摘されていたことが10日、関係者への取材で明らかになった。

 関係者によると、同社グループは、ユニマットライフを中心とする組織再編の中で、赤字企業との合併を通じ、黒字企業の所得を圧縮するなどした。だが、東京国税局は組織再編に経済的な合理性は乏しく、税負担の軽減が狙いだったと判断。所得の相殺を認めず、ユニマットライフと持ち株会社「ユニマットホールディング」などグループ会社に、申告漏れを指摘したとみられる。申告漏れの一部は重加算税の対象と認定された模様だ。

 (税理士 白井一馬)
| - | 10:24 | - | - |
演習場地主、100億円申告漏れ 陸自・東富士、制度変更(中日新聞)

演習場地主、100億円申告漏れ 陸自・東富士、制度変更(中日新聞)

 

白井)一般社団法人・一般財団法人には要注目の事件が登場ですね。もしかすると、非営利型からの転落事例かもしれません。

 


演習場地主、100億円申告漏れ 陸自・東富士、制度変更
中日新聞 2018年6月8日 朝刊

 

 富士山の裾野にある陸上自衛隊東富士演習場(静岡県御殿場市など)に土地を貸している地元の十団体が、名古屋国税局の税務調査を受け、防衛省からの賃貸料収入をめぐって総額百億円超の法人所得の申告漏れを指摘されていたことが分かった。国の公益法人制度改革に伴い、従来は非課税だった賃貸料収入が課税対象とされた。過少申告加算税を含めた追徴課税額は、二十数億円に上るとみられる。

 

 (略)

 

 信用調査会社などによると、各団体は、防衛省に貸している「共有地」の地権者にあたる。演習場周辺に住む住民らが会員で、市職員が運営に関わる団体もある。防衛省からの賃貸料収入は、地元老人会や消防団への助成、学校の備品購入などに充てている。

 十団体はかつて、公益法人に認定され、賃料収入は自動的に非課税とされていた。国の制度改革に伴って二〇一二〜一四年、「非営利型」一般社団・財団法人へ移行。課税されるかどうかは、国税当局の判断に委ねられることになった。

 

 公益性が認められれば非課税となるが、今回の税務調査では認められなかった。支援金や記念品の配布先が、地元に限られている点が問題視されたとみられる。ある団体は、地元の高齢者への敬老祝い金を「特定の個人への利益分配」と指摘されたという。

 

 各団体とも、一七年以前の過去五年分をさかのぼって賃貸料収入に課税されたもよう。

 

 (略)

 

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018060802000086.html

 

濱田)あれ、非営利型法人であっても、不動産賃貸業は、収益事業課税対象ではなかったでしたっけ。

 

内藤)基本はそうですね。しかし、本事例では、国に直接貸していますから、政令で収益事業から除外されているということになるのでしょう。

 


・法人税法施行令 第5条 (収益事業の範囲)

 

 法第2条第13号(定義) に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。) とする。

 

 ◆5 不動産貸付業のうち次に掲げるもの以外のもの


  ホ 国又は地方公共団体に対し直接貸し付けられる不動産の貸付業

 

岡野)なるほど。記事中では、「支援金や記念品の配布先が、地元に限られている点が問題視された」とありますので、「特定の個人又は団体に特別の利益を与えること」の意味が問われたと。

 

村木)この点が問題にならなければ、収益事業課税されない以上、課税が生じなかったのですね。しかし、そもそも、非営利型法人じゃなくて、特定普通法人なんじゃないのと言われてしまったと。

 

濱田)名古屋局、本当にアグレッシブですね。

 

白井)ただ、「地元の高齢者への敬老祝い金」までダメだと言ってますので、これはちょっと行き過ぎかもしれないという気もします。

 

内藤)御殿場市の一団体は、国税不服審判所に審査請求しているそうですが、気持ちは分かりますね。

 

岡野)しかし、これ怖いですね。相応の歴史があっても、地元の生活密着がある程度あっても否認してくる。5年遡及ですし、かなり本気の課税です。

 

村木)「特別の利益」がどのレベルを問われるのか、審判所の判断が待たれますね。この事件の影響次第では、進み始めた一般社団法人・一般財団法人の利用にもブレーキが掛かるかもしれません。要注目です。

 

(税理士 白井一馬・税理士 内藤忠大・税理士 岡野訓・税理士 村木慎吾先生・税理士 公認会計士 濱田康宏)

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