1件申請による数次相続登記通知 その3 3要素の事情斟酌できれば登記可
〇数次相続が生じている場合において最終的な遺産分割協議の結果のみが記載されてた遺産分割協議書を添付してされた相続による所有権の移転の登記の可否について
(平成29・3・28不登第64号福岡法務局民事行政部長照会、平成29・3・30民二第236号民事局民事第二課長回答、平成29・3・30民二第237号法務局民事行政部長(福岡を除く。)・地方法務局長宛て民事局民事第二課長通知)
続きです。
以上を踏まえて、まずベストは中間相続の結果記載もあることだと。
そりゃ当然なのですが。
しかし、不登法61条が登記原因情報証明の提供を求める趣旨は何か。
登記原因の真実性を可能な限り確保し、登記の正確性を向上させることだ。
であれば、中間相続の協議結果が分割協議書に記載されていなくても、
△
・登記情報中の登記原因の記載により、相続の経緯及び中間の相続が単独相続であったことが明らかにされていること【A】、また、
・このような相続による所有権の移転の経緯とすることが、添付情報である戸籍及び除籍の謄本等から判明する相続関係からして、遺産分割をした相続人の意思として合理的なものと解釈できること【B】、加えて、
・遺産分割協議書中に各自の相続毎の遺産分割協議の当事者となるべき者の署名押印があるなど、各自の相続について当事者となるべき相続人全員が関与した上で遺産分割協議が行われたと考えられること等【C】
の事情が認められるのであれば、
最終的な遺産分割協議結果のみが記載された遺産分割協議書が登記原因情報として添付された場合であっても、1件申請による数次相続登記をすることは可能であると考えられる。
▽
(注:文中の区分や記号設定は、原文には存在しない)
このように述べたうえで、
「年月日B相続、年月日E相続、年月日相続」により、【A】を満たし。
「A名義の不動産をGが単独で相続した」旨記載で、【B】を満たし。
第一次相続から第三次相続までの相続人全員の署名押印で、【C】を満たす。
よって、本件申請に係る登記をして差し支えないと回答された由。
この照会回答・通知は、実務上は必須の知識になるかもしれません。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)
[北詰司法書士によるコメント]
いままで何枚も協議書を作らないといけないのが、1枚でOKと。
おそらく時代背景として、所有者不明土地等が問題になってきたことも背景にはあると思います。
個人的には実際の遺産分割協議書のひな形も教えて欲しかったです。
(司法書士 北詰健太郎)