月刊登記情報 2017年11月号
法務省民事法制管理官 堂薗幹一郎氏の寄稿。
相続法制の見直しに向けた検討は平成26年に始まったのだが、きっかけとなったのは、嫡出子でない子の相続分を嫡出子の2分の1とするのは憲法違反とする最高裁決定だとのこと。
違憲とされた規定はもともと法律婚の尊重を趣旨とするものであったことから、この規定を削除するのであれば、これに代わる措置を相続法制の中に設けるべきであるとの指摘がされ、相続法制の見直しへと向かったのだとか。
で、現在も意見がまとまらない論点がいくつか残されているのだが、いずれもその対立構造は共通しているのだと。
すなわち、現行制度は、遺産の分配額を被相続人との身分関係に応じて形式的に定めるのを原則としているが。
より実質的に公平な遺産の分配を実現するための見直しが必要ではないかとする意見がその対抗軸となっていると。
問題は、上記の見直しをしてしまうと、ただでさえ争訟性が高いとされる相続に関し、新たな火種を持ち込むことになるのではなかいとの懸念。
これらの意見のバランスがとれる妥協点を見つけるのが、残された論点を解決するための方策。
(税理士 岡野 訓)