大阪勉強会からの税法実務情報

 大阪勉強会メンバーによる記事です。
 税理士実務の文化を創るための税法情報サイトです。
預貯金口座へのマイナンバー付番

 平成28年1月より、金融機関が税務署に法定調書などを提出する際、顧客のマイナンバーを記載しなければならなくなった。

 

 対象となるのは、投資信託・公共債、外国送金、マル優・マル特、財形など。

 

 平成29年1月からは、預貯金口座への付番が開始される。

 

 しかし、投資信託等とは違い、付番するかどうかは預貯金者の任意。

 

 金融機関が破綻したときの名寄せが簡単に行えるから、とか、スムーズな払い戻しにつながるとか。

 

 金融機関とすれば、上記のような顧客のメリットを説明して申告を促すことになるようですが、強制じゃなければ、まず申告する人はいないでしょうね。

 

 いや、いるのですかね?

 

(税理士 岡野 訓)

 

 

| - | 16:19 | - | - |
「特集 中小企業経営強化税制活用の勘どころ」(税務弘報)

「特集 中小企業経営強化税制活用の勘どころ」(税務弘報)

 

税務弘報2017年10月号より。

 

◯特集 中小企業経営強化税制活用の勘どころ

 

手続きの面倒さが現場を苦しめているとの声もある制度なので。
特集そのものは、悪くないのですが。

 

・中小企業経営強化税制の枢要(伊藤千鶴[税理士])

 

ちょっと不親切という感じです。
これだけ読んでも、各事業分野の担当省庁がどこかすら分からない。

 

正確に言えば、P13になって例示がようやく登場するのですが。
流れが見えないですね。

 

まずは、経産省(中小企業庁)マニュアルの存在とURLを書いてから。
そのマニュアルを読む際の注意点に絞って書くべきだったのでは。

 

税制措置・金融支援活用の手引き(中小企業庁)(平成29年6月9日更新)
 

標準処理期間1月の話も、経産省の図の引用中でしか書いていないですし。
補助金との関係の話も書いていない。

 

あと、税理士が何をすべきかの記述も薄いですね。
なんか抽象的なことしか書いていない。

 

特に、スケジュールの例外が、期末が近づくと使えない点について。
説明が不十分なように思います。

 

設備取得後申請の例外は、標準処理期間を考慮すると、期末月はアウト
その点の事前説明をしておかないと、税理士の説明不足と言われかねない。

 

図をじっくり見ればわかる、のならそもそもこの記事は不要ですから。
もう少し読者目線に立った記事を書いてほしかった。

 

恐らく、筆者は経産局の説明会に参加していないのではないかと思います。

 

・生産性向上設備(A類型)における実務上の留意点(嶋協[税理士])

 

このページ数の中で言えば、よくまとめましたね、という印象。
中小企業投資促進税制との対比などは、紙数的に無理だったでしょうね。

 

・生産性向上設備(B類型)における実務上の留意点(宮森俊樹[税理士]・廣瀬尚子[税理士])

 

特に興味がないのでパスします。
すみません。

 

・固定資産税の特例(西野道之助[税理士])

 

これも紙数的にはまとまっているのだと思いますが。
法人税・所得税申告の方との関係記載が不十分という気がします。

 

今回の特集は、企画としては悪くないのだと思いますが。
執筆の分担調整等で、編集部の能力が相当要る企画だったのだと思います。

 

ちょっと残念です。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

 

| - | 08:57 | - | - |
建設機械会社が所得隠し=土地売買で2.5億円−名古屋国税局

建設機械会社が所得隠し=土地売買で2.5億円−名古屋国税局

 

濱田)少し前のニュースですが、町への寄附認定という話です。

 


建設機械会社が所得隠し=土地売買で2.5億円−名古屋国税局

 

(略)

 

土地売買の差額が売却損と認められなかったとみられる。

 

(略)

 

関係者によると、同社は2005年3月、当時の静岡県引佐町(現浜松市)から、相続税評価額が700万円前後の町有林を2億8000万円で購入。14年1月に3000万円で地元の不動産業者に転売した。差額の2億5000万円を損金計上したが、同国税局は購入額が不当に高く町への寄付に当たると判断したとみられる。

 

(略)

 

(2017/06/28-11:53)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017062800532&g=soc

 

通常、地方公共団体に対する寄附金は、損金不算入対象外ですよね。
何故、損金算入されないのでしたっけ。

 

村木)法人税法37条の「(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)」の括弧書きに該当するわけでもないよね、ということですか。

 

濱田)ええ、町有林の買取りで、その後の転売を考えると。
ちょっと違うよなぁと。

 

内藤)素直に考えれば良いのでしょう。

 

 

寄附の事実認定は、買取りが実施された2005年に生じるのだと思います。

 

(2005年当時の課税関係)

土地 700万円 /現預金 2億8千万円
寄附金 2億7千
3百万円

 

高額購入そのものが、寄附だと。

 

村木)なるほど、転売時には、もはや譲渡原価とすべき土地は、3千万円分しかないのだから、売却収入の殆どが課税されてしまうのだと。

 

(2014年転売時の課税関係)

現預金 3千万円 / 土地売却収入 3千万円
土地 700万円 / 土地 700万円
譲渡原価

 

内藤)そうですね。ポイントは、寄附金の損金算入は、2005年に行われるべきものなので、更正の請求期限を徒過しているね、というところです。

 

濱田)言われれば、ロジックは納得ですが、びっくりです。

 

村木)ええ。そうすると、子会社救済の意図での子会社株式増資引受けも、取得価額の否認がされるリスクがあるのでしょうか。
これまでは、課税されてこなかった部分ですが。

 

内藤)子会社救済の意図での増資は、ビジネスリーズンの世界なので、この事例よりも、事実認定の難しさのハードルが上がりますね。
しかし、常に不可能とまでは言えないような気がします。

 

村木)更に、理屈だけで言えば、役員からの高額買入も同じですね。例えば、時価1億円の土地を3億円で購入した場合です。

 

内藤)なるほど。こちらは差額が寄附でなく、役員賞与扱いですから、7年経過後の売却であれば、給与課税がされなかった分だけ、まだマシですか。

 

村木)時価の問題は、結構厄介ですね。相対取引であれば、市場取引のような価格決定がされるわけではありませんから、時に時価と乖離した取引結果になることもあります。ただ、組織再編関係事件での最近の傾向などを見ていると、それなりに説明できる整理をしておかないと、まずいということですね。

 

濱田)なるほど。しかし、10年以上前の取引が理由で否認される場合がある、というのは実務的には怖いです。

 

内藤)そう思います。一種の時限爆弾ですね。ただ、この事例で言えば、これを認めてしまうと、将来、随意に損金を算入させることが可能になり、逃げ得になりますよね。金額も考えて、譲れなかったところなのでしょうね。

 

村木)納得です。最後は常識感覚というところですね。ただ、取得時に正しい処理をしていれば、本来は損金算入できたわけですね。時価との乖離も大きいですから、取得時の隠れた事情が何かあったのかもしれません。

 

濱田)そうですね。そう考えるのが素直でしょう。それにしても、税理士としては怖い案件です。

 

(税理士 村木慎吾 税理士 内藤忠大 税理士・公認会計士 濱田康宏)

 

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