一般財団法人が設立時に寄附を受けた場合の課税関係(広島局文書回答)
広島国税局の文書回答が出ました。
病院経営を行う一般財団法人があると。
要するに、旧財団法人で、公益認定を受けなかったのですね。
この法人から、新設予定の一般財団法人に、病院の資産負債の一部を移転すると。
なんと、これを贈与、つまり、寄附でやろうというのですね。
そして、新法人は、非営利型法人に該当するので、収益事業課税。
taxMLでは、3階建ての2階法人と称している類型ですね。
この新法人では、受贈を受けた事業を収益事業として区分経理すると。
医療保険業だが、法令5条1項29号の例外に該当しないということですか。
で、文書照会のテーマは、この受贈益について、新法人で課税が生じるか。
法基通15−1−6(付随行為)に該当しないかというのですね。
では、収益事業の附随行為が、どこまでなのか。
これって、実務上の頻発論点の1つですので、参考になります。
ただ、結論での理由付けが、何か意味不明な文章。
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しかしながら、この贈与による医療機器等の取得は、上記(2)のハの収益事業の用に供される固定資産の取得のために交付を受ける補助金等と何ら変わるものではなく、実質的な元入金のようなものであり、収益事業に係る収入又は経費を補填するための補助金等のような役務の提供等を受ける者から得る対価と経済的に同じ性質を有しているとは認められませんので、収益事業(医療保健業)に係る収益には該当しないと考えられます。
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では、私ならどう説明するかですが。
収益事業の事業サイクル内部から生まれる収益ではないから収益事業除外。
そのように説明するのが、簡明だと思います。
「実質的な元入金のようなものであり」というのは、何かというと。
収益事業の事業サイクル外からの外生的な流入だと言いたいのでしょう。
一旦、収益事業の事業サイクルに入ってしまえば。
転用しようが、固定資産売却しようが、収益事業の中での話です。
通達が表現しているのは、そのような整理でしょう。
収益事業の事業サイクルの中から生まれる収益か、外生的な収益か。
で、この論理からすれば、収益事業に属する債務の免除益は危険ですね。
基金免除益に関する東京局回答も、収益事業の債務でないことが前提。
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この場合、基金としてAから拠出された現物財産が収益事業の用に供されているとしても、基金制度は、剰余金の分配を目的としないという一般社団法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度であり、基金として集めた金銭等の使途に法令上の制限はないことから、一般社団法人の基金は収益事業に属する債務とは認められず、当法人としても収益事業以外の事業に係る債務として区分経理することとしているところです。
別紙 一般社団法人(非営利型法人)の基金について放棄を受けた場合の法人税法上の取扱いについて
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収益事業に帰属する債務の免除益は、課税される危険性大。
ここでは、そのように結論付けておきたいと思います。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)