法人税申告に当たっての留意事項(租税研究)その8
租税研究2017年4月号より。
〇法人税申告に当たっての留意事項
社大樹(東京国税局課税第二部法人課税課実務指導専門官)
続きです。
平成28年度税制改正のポイント及び留意点について。
まず、1つめ、法人税の税率に関する改正ですが。
ここはパスして。
次に、2つめ、欠損金の繰越控除制度等の見直しについて。
細かい点は省略して、繰越控除期間の年数の話だけ書くと。
3月決算を例にすると、29年3月期であれば9年間であり。
改正前も改正後も、変わっていない。
改正されるのは31年3月期からで、10年繰越になるよと。
3つめ、減価償却に関する改正です。
平成28年4月1日以後に取得された
・建物附属設備
・構築物
・鉱業用減価償却資産のうち建物,建物附属設備,構築物
,これららの償却方法につき、定率法が廃止されたと。
これもまぁいいですよね。
ただ、敢えて一言言えば
「適用を判断する時期は、28年4月1日以後の取得です。取得日で見ていただくということ」であって、事業供用日じゃないよと。
改正を機に定額法一本化する場合の変更手続については。
以前の改正同様、経過措置での手続時期特例があるので注意と。
これは同じ租税研究の成松洋一先生の研修でも説明ありました。
4つめは、30万円未満の少額資産の全額損金算入の件ですが。
常時使用する従業員の数が1,000人以下縛りが入ったと。
適用時期は、28年4月1日以後に取得したものからだと。
1,000人以下の判定は、通達があるので、注意と。
「常用であると日々雇い入れるものであるとを問わず」
「事務所・事業所に常時就労している職員、工員等で、役員は除く」
5つめは、廃止項目。
例えば、生産性向上設備等を取得した場合の即時償却の措置。
ただ、50%の特別償却は、29年3月まではできるよと。
税額控除も、5%税額控除は既に終了しているけれど。
4%の税額控除は、29年3月まで使えるよと。
最後に、役員給与の損金不算入制度の整備について。
これは、多くの中小企業には殆ど関係ない話ですが2点。
1つは、届出要件を不要とする事前確定届出給与の追加で。
特定譲渡制限付株式、いわゆるリストリクテッドストックが入ったよと。
もう1つは、利益連動給与の算定指標の明確化だと。
法人税法の施行令の方で決めてあるわけですが。
「利益に関するものに限られるのであるということで、例えば、売上,株価、配当、キャッシュフロー、こういったものは、ここでいっている指標には該当しません」
名前通り、利益連動しないのは、いかに重要な指標でもダメだと。
なるほどね、です。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)