減額されるべき私道の意義(最高裁平成29年2月28日)
高裁判決が厳しすぎたのですね。
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そうすると,相続税に係る財産の評価において,私道の用に供されている宅地につき客観的交換価値が低下するものとして減額されるべき場合を,建築基準法等の法令によって建築制限や私道の変更等の制限などの制約が課されている場合に限定する理由はなく,そのような宅地の相続税に係る財産の評価における減額の要否及び程度は,私道としての利用に関する建築基準法等の法令上の制約の有無のみならず,当該宅地の位置関係,形状等や道路としての利用状況,これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし,当該宅地の客観的交換価値に低下が認められるか否か,また,その低下がどの程度かを考慮して決定する必要があるというべきである。
最高裁平成29年2月28日
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/540/086540_hanrei.pdf
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課税庁は、下記裁決例などもあって、否認していたのでしょうか。
緑化設備の事例ですが。
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また、財産評価基本通達24が不特定多数の者の通行の用に供されている私道を評価しないこととしているのは、その私道の廃止又は変更が制限されるなど、一定の利用制限を余儀なくされることから、換価性が著しく低く経済的価額を評価するまでに至らないことによるものと解されるところ、当該緑化設備は、経済的価額を評価するまでに至らないものとは認められないから、財産評価基本通達により難い特別な事情があるともいえない。
「相続により取得した建物の周囲にある緑化設備は、共同住宅の敷地内に設けられた構築物であるから、財産評価基本通達97の定めにより評価すべきであるとした事例」平成22年6月9日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0710000000.html
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以前から、高裁判決はおかしいと言っていた小林磨寿美先生に。
今度、お話を伺ってみようと思っています。
(税理士・公認会計士 濱田康宏)