大阪勉強会からの税法実務情報

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配偶者居住権は特定財産承継遺言では設定不可

配偶者居住権は特定財産承継遺言では設定不可

 

濱田)そう言えば、配偶者居住権って、いわゆる相続させる遺言では設定できないんだそうですね。

 

北詰)ええ。配偶者居住権の説明だけして、この点触れていない人多いですよね。

 


 配偶者居住権というのは、基本的には配偶者が死亡するまでの間に居住建物に住み続けられるという権利です。これについては、遺贈ではできても相続させる旨の遺言ではできないことになっています(改正民法一○二八条一項)。これはなぜかというと、相続放棄をすると相続人とならなかったとみなされてしまうからです(民法九三九条)。これに対し、遺贈については受贈財産の一部の放棄もできるというのが通説的な解釈です。通説というか、ほぼ例外のない解釈です。つまり、配偶者に居住建物に一生住んでよいという権利を与えます。遺贈ならこれだけを放棄できます。そして配偶者居住権を放棄したうえで、他の財産を相続することができます改正法は相続させる旨の遺言を放棄する手続は相続放棄だと考えたうえで、配偶者居住権の放棄だけが認められるように、相続させる旨の遺言で与えることはできないとしています

出典:家事事件(相続)にかかる重要判例(加藤祐司)[現代法律実務の諸問題(平成30年度研修版)]P414-415

 

参考)

・民法 第1028条(配偶者居住権)

 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

 ◆1 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
 ◆2 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

 2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

 3 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

 

濱田)勧めている人たちは、公証人役場で指摘されたりするのでしょうか。あるいは、自筆証書遺言にして、7月10日以後、保管制度始まると、法務局が指摘してくれる?

 

北詰)うーん、ただ、相続させる遺言だと絶対ダメかというと、そうでもなくて、救済される可能性はあるんですよね。

 

濱田)え、そうなんですか。

 

北詰)ええ、立案担当者解説で、次のように言っていますから。

 


(注1)このため、遺言者があえて配偶者居住権を目的として特定財産承継遺言をしたと認められる場合には、その部分は無効ということになるが、通常は遺言者があえて無効な遺言をすることは考え難い。したがって、例えば、相続させる旨の遺言により、遺産の全部を対象として各遺産の帰属が決められ、その中で、「配偶者に配偶者居住権を相続させる」旨が記載されていた場合でも、配偶者居住権に関する部分については、遺贈の趣旨であると解するのが遺言者の合理的意思に合致するものと考えられる

一問一答新しい相続法_平成30年民法等(相続法)改正、遺言書保管法の解説(商事法務 20190325)P14

 

濱田)なるほど、絶対ダメとまでは、言っていないんですね。

 

北詰)実際、相続させる遺言で配偶者居住権を設定してしまうケースは、頻発するかもしれないと恐れています。

 

濱田)確かに、知らないとやりそうですねぇ。

 

北詰)ただ、裁判所がどう判断するかを考えると、専門職の場合は、敢えてやるべきではないでしょうね。事実認定次第では、結論が変わり得ますから。

 

濱田)なるほどです。信頼できる専門家に依頼するのが一番っぽいですね。

 

(司法書士 北詰健太郎 税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

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インボイス制度について(1)(消費税申告に当たっての留意事項[丸根剛](租税研究))

インボイス制度について(1)(消費税申告に当たっての留意事項[丸根剛](租税研究))

 

 租税研究2020年3月号より。

 

○消費税申告に当たっての留意事項
 丸根剛(大阪国税局課税第2部消費税課連絡調整官)
 (令和2年1月21日開催講演)

 

 適格請求書等保存方式いわゆるインボイス制度について。
 複数税率制度で、前段階税額控除方式を適正機能させるために必要だと。

 

 売手側の適用税率認識と仕入側の適用税率認識を一致させるため。
 インボイスは、売手側に発行義務を課し、仕入側の税額控除に保存を義務付けたと。

 

 本当は、小規模免税業者からの仕入れについては消費税額がないので。
 仕入税額控除を許さない
というのが、一番なんでしょうけどね。

 

 さて、請求書等とインボイスとの違いは大きく4点だと。

 

[1]インボイス発行は税務署長から登録を受けた業者しかできない。
[2]インボイス制度では、売手は仕入側から求められるとインボイス発行義務あり
[3]インボイスには、消費税率・消費税額等を明記する必要がある。
[4]インボイス制度実施後、請求書等を電子データで受領した場合、仕入税額控除のためには、電子データも保存しておく必要がある

 

 この4つめは、これから実務的な課題が明らかになるところでしょうね。

 

 続きます。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

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中小企業・個人事業主への現金給付と首相記者会見について(江川紹子氏)

中小企業・個人事業主への現金給付と首相記者会見について(江川紹子氏)

 

中小企業・個人事業主への現金給付と首相記者会見について
江川紹子  | ジャーナリスト
YAHOO!JAPANニュース 2020/4/8(水) 14:27

 

 あの、安倍首相会見での質問での不明点について。
 なんと、その後、菅長官から電話があったと。

 

「菅官房長官から電話を代わった秘書官の説明によると、年末までのどこかの月で、事業収入が昨年比で50%以上下がっていることを示せば、下がった金額を補填してもらえる。」

 

「たとえば、ある中小企業の4月の売り上げが、昨年より180万円落ち込んだら180万円、200万円の場合は200万円が給付される。」

 

「条件はこれだけ。」

 

「売り上げの大幅減少が複数か月にわたった場合はどうなるのか。たとえば個人事業主が、4月の収入が昨年の60万円から今年は20万円へと落ち込み(40万円減)、5月は70万から30万円(40万円減)に減った時、80万円もらえるのか」

 

「秘書官は、「これについては中小企業庁に照会し、検討してもらう」とのこと。」

 

 そうなんですよね。
 複数月該当の場合が、今出ている資料では読み取れない

 

 ただ、申請のタイミング・申請回数をどうするかという問題があるので。
 万人が納得する回答には、多分ならない

 

 金額重視にするのか、速度重視にするのか、簡便性重視にするのか。
 多分、どれにしても、誰かから文句が出る。

 

 経産省・中企庁の皆さん、体と心を壊さないようにして下さいね。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)


 

| - | 22:43 | - | - |
持続化給付金の給付額計算式(経産省)

持続化給付金の給付額計算式(経産省)

 

 うーん、200万円、100万円ポンとくれるわけじゃないんだ。
 激減月分の売上補償的なイメージなのか。

 


持続化給付金

 

給付対象者:中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者等、その他各種法人等で、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が前年同月比で50%以上減少している者

 

給付額:前年の総売上(事業収入)− (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)

※上記の算出方法により、法人は200万円以内、個人事業者等は100万円以内を支給

 

出典:「令和2年度補正予算案の事業概要(PR資料)令和2年4月」(経産省)P13

 

 安倍首相は、どこかの月でいいという言い方でしたが。
 対象者だけの話なのか、給付額計算式にも及ぶのか、現状ではまだ見えませんね。

 

 早いところ、詳細情報がほしいです。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 10:24 | - | - |
レンタル収納事業に用いられるコンテナの課税上の取扱い[大石篤史他](T&Amaster)

レンタル収納事業に用いられるコンテナの課税上の取扱い[大石篤史他](T&Amaster)

 

 T&Amaster No.829 2020.4.6より。

 

○レンタル収納事業に用いられるコンテナの課税上の取扱い
 大石篤史(森・濱田松本法律事務所 弁護士・税理士)
 山川佳子(森・濱田松本法律事務所 弁護士)
 宇田川翔(森・濱田松本法律事務所 弁護士)

 

 エリアリンク課税事件での課税庁見解に真っ向から反論しようとするもの。
 という位置付けでいいのでしょうかね。

 

 根拠は、建物は土地の定着物という性質を持っているところ。
 その程度は、コンテナの通常の付着状況に過ぎないのであるから。

 

 最高裁昭和37年3月29日石油タンク事件あるいは。
 大判昭和4年10月19日ボルト釘事件により、付着の程度について。

 

「動揺を防ぐために動産がボルト釘などにより基礎工事等に対して接着されただけの場合」には、特別の基礎工事により土地に固着されていないので、建物にならないと。

 

 へー、そんな裁判例があるのですね。
 あ、確かに、国税庁でも税大論叢に収録していました。

 

「不動産所得の範囲について[福田善行]税大論叢」

 

「そのため、最高裁昭和 37 年 3 月 29 日第一小法廷判決(民集 16 巻 3 号 643 頁)(19)は、「民法86 条は動産、不動産の区別を定めた基本的な規定であって、動産、不動産の観念は、特段の事由の認められない限り概ね右民法の法条に定められるところに従うものと解するを相当」としている(20)。」P264

 

「(22) 租税訴訟ではないが、工場内に据え付けた機械も、大規模の基礎工事によって土地に固着させられると、定着物になるとした大審院明治 35 年 1 月 27 日判決(民録 8輯 1 巻 77 頁)や、機械が、使用する際動揺しないように建物の一部又は基礎工事にボルト・釘・スパイクなどで固定されただけでは、まだ定着物とはいえないとした大審院昭和 4 年 10 月 19 日判決(新聞 3081 号 15 頁)も参考になる。」P265

 

 そして、建築基準法の建築物に当たることがそのまま民法における概念になって。
 土地の定着物になるということにはならない筈だ、というのですね。

 

 なるほど、一理あります。
 ただ、過去の判例は、外気分断性・用途性を一考するまでもない裁判例です

 

 建物類似の用途を意図して設置されたコンテナについても、同様だと言えるのか
 そこは、直感的に言えば、疑問を感じますね。

 

 逆に言えば、多くは建物と同様の機能性を意図しない動産についての判例なので。
 判断において、強く固着性を要求したのではないか
という見方もできます。

 

 なので、これで納税者勝てるのか、というと、個人的には疑問です。

 

 ただし、札幌地裁判決では、「建設現場で使われる容易に移設可能な組立式のプレハブ」について、大石弁護士と同意見のものがありました。

 

「ウ イで認定した事実によると,本件仮設建物は,容易に移動できる仮小舎に類する物であり,かつ,簡易な基礎の上に設置され,差し筋によって土地に固定されているのみで,大規模な基礎工事によって土地に固定されているものではないということができるから,民法86条1項にいう「土地ノ定著物」には当たらず,動産に当たるというべきである。」

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/677/008677_hanrei.pdf

 

 なので、裁判所が大石弁護士たちの主張を是とする可能性もあります。

 どうなるかは、今後のお楽しみでしょうか。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 08:18 | - | - |
製造委託契約の税率判定(消費税申告に当たっての留意事項[丸根剛](租税研究))

製造委託契約の税率判定(消費税申告に当たっての留意事項[丸根剛](租税研究))

 

 租税研究2020年3月号より。

 

○消費税申告に当たっての留意事項
 丸根剛(大阪国税局課税第2部消費税課連絡調整官)
 (令和2年1月21日開催講演)

 

 令和元年度改正関係は省略。
 軽減税率制度の説明では、製造委託契約の税率について。

 

 製造販売であれば、飲食料品の譲渡として軽減税率。

 賃加工であれば、役務の提供として標準税率。

 

 区別は契約内容によるものの、考慮要素は、

 

 ・完成品の所有権はどちらにあるのか
 ・受託者の使用する原材料や包装資材はどのように調達されるのか

 

 に着目することになるよねと。

 

 完成品所有権が製造者にあれば、製造販売に当たり、軽減税率対象だし。
 原材料等を製造元から無償提供受けるのなら、賃加工で標準税率対象だと。

 

 なるほど。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 00:01 | - | - |
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)[財務省]

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)[財務省]

 

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)

 

 案段階のパンフレットまで掲載してあります。

「納税を猶予する「特例制度」(案)」

 

 新コロの影響によりとありますが、これは事実上ないに等しいんでしょう。
 すると、要件は、個人・法人・規模関係なく、以下の2つ充足が要件。

 

 [1]2月以後の任意の1か月以上の期間で、対前年同期比収入2割以上減。
 [2]一時に納税を行うことが困難

 

 問題は、[2]ですね。
 「少なくとも向こう半年間の事業資金を考慮に入れるなど」なので。

 

 給付金みたいに、ほぼ形式的に対応してくれるのではなく。
 個別に税務署が対応するので、徴収部門パンク覚悟ですかね。

 

 注目は納期が、令和2年2月1日から令和3年1月末でで。
 納期既に過ぎているものも、遡及して対象になる
というビックリ措置。

 

 税務署が既にシステム上で計算しているもの、どうなるのか。
 本当に対応できるのか、徴収部門は(略)。

 

 ただし、納期あるいは関係法令施行の2月後までに申請必要
 申請書は準備中で現金預金や収入の状況書類と一緒に出せと。

 

 そうか、これが予定納税も対象になるだろうというわけですか。
 延滞税も生じないことになるというのは立法で措置するからと。

 

 しかし、納税免除がないだけに、誰でも彼でも使わせるのは躊躇される。
 うーん、これ、お客さんにどう案内すべきなのでしょう。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)


 

| - | 21:18 | - | - |
給付金ポイントQ&A 支給スタート最速で5月中、事業者申請から2週間で(SankeiBiz)

給付金ポイントQ&A 支給スタート最速で5月中、事業者申請から2週間で(SankeiBiz)

 

給付金ポイントQ&A 支給スタート最速で5月中、事業者申請から2週間で
SankeiBiz 2020.4.7 18:46

 

 「中堅・中小企業などの法人には最大200万円」
 「個人事業主などには最大100万円」
 「使い道は問わず、事業全般に広く使える。」

 

 ただし、業績急降下の要件は課したと。

 


 Q 給付の条件は

 A 新型コロナの影響で売り上げが前年同月比で50%以上減少している場合とした。中小企業や個人事業主などは、売り上げの減少を証明する書類などを用意した上で申請する。企業向けに使途を定めない給付金をこれほどの規模で実施するのは異例の措置だ。

 

 「給付が始まるのは最速で5月中になりそうだ。」

 「オンラインでの申請も可能にする」


 「提出書類に不備がない場合」だが。
 「オンラインの場合は申請から書類の確認、給付までを2週間程度で」目標と。

 

 で、この中小企業者への事業者給付金について。

 安倍首相会見で、江川紹子氏が質問していました。

 

 給付金の条件についてはどうなのかと。

 安倍首相回答は、どこかの月で前年より半減していることと。

 

 恐らく、月収入が2月以後でどこか1ヶ月売上高が前年の同月比較で。

 半減していること、というような要件なのでしょう。

 

 つまり、5%以上ダウンしていると無担保・無利息融資対象になり。
 50%以上ダウンしていると、給付金支給対象になる。

 

 という感じではないかと。
 早いところ、公表される資料で裏取りしたいですが。

 

 なお、会見では、簡易な電子申請によるという話に加えて。
 全国の商工会で手伝って貰うという話も言ってましたね。

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

| - | 20:19 | - | - |
e-Taxに必要なID・パスワードの出張発行のお知らせ[国税庁]

e-Taxに必要なID・パスワードの出張発行のお知らせ[国税庁]

 

 現時点では、予定なしとなっていますが。
 コロナ禍が落ち着いたら、税務署職員が職場や自宅に出向くのでしょうか。

 

 まだ先の話になるのでしょうけど。
 気になります。

 

e-Taxに必要なID・パスワードの出張発行のお知らせ

ID・パスワードの出張発行の日程を掲載しております(順次、更新中)

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)

| - | 17:14 | - | - |
予定納税は猶予可能で延滞税なしにできる?(安倍首相発言)

予定納税は猶予可能で延滞税なしにできる?(安倍首相発言)

 

 早いところ、税務情報誌で、裏とってほしいですね……。
 こういうのは、正確に聞かないと危ないというのは、周知の通りですから。



上念 司
@smith796000
今、国会で安倍さん言いました。

中間納税は猶予可で延滞税取らないそうです。これで一息つける中小企業経営者多数!!

みんなの思いが届きました!
安倍総理ありがとう!!
午後2:06 2020年4月7日 Twitter for Android

 

(税理士・公認会計士 濱田康宏)
 

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